海外にある財産を相続した場合、相続税はどうなりますか?
1 海外にある財産にも相続税が課されることがあります
被相続人の財産が海外にあった場合、その財産(国外財産)についても相続税が課されることがあります。
今回は、相続人が日本国籍を有している者であるというケースに絞って説明します。
まず、国内に居住している方が、被相続人の国外財産を相続した場合には相続税の対象となります。
また、国外に居住している方であっても、相続開始前10年の間に被相続人か相続人が国内に住んでいた場合は、国外財産にも相続税が課されます。
さらに、国外財産については、その財産がある国においても、相続に関する税が課されることがあります。
このように、被相続人の財産の中に国外財産があると、とても複雑な課税関係が発生することがあります。
2 国外財産に相続税が課された場合、控除を受けることができる
1で述べたとおり、被相続人が国外にも財産をお持ちであった場合、その国外財産に対して外国で相続税が課せられることがあります。
国内においても当該国外財産に相続税が課せられると、二重に相続税を支払うことになってしまいます。
このような状況に備え、外国でも相続税が課せられた場合には、国内の相続税から外国税額を控除できる制度が用意されています。
参考リンク:国税庁・外国税額控除の適用を受けられる方へ
【参考条文】
(在外財産に対する相続税額の控除)
第二十条の二 相続又は遺贈(第二十一条の二第四項に規定する贈与を含む。以下この条において同じ。)によりこの法律の施行地外にある財産を取得した場合において、当該財産についてその地の法令により相続税に相当する税が課せられたときは、当該財産を取得した者については、第十五条から前条までの規定により算出した金額からその課せられた税額に相当する金額を控除した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。ただし、その控除すべき金額が、その者についてこれらの規定により算出した金額に当該財産の価額が当該相続又は遺贈により取得した財産の価額のうち課税価格計算の基礎に算入された部分のうちに占める割合を乗じて算出した金額を超える場合においては、その超える部分の金額については、当該控除をしない。
外国で相続税を納めた場合には、その外国で納めた相続税額を上限として、国内の相続税から控除することができます。
具体的には、控除することができる金額は、次のいずれか少ない方の金額となります。
①外国で課税されて支払った相続税額
②日本での相続税額×(外国にある相続財産額合計/相続人の相続財産額合計)
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