不動産を活用した相続税対策のメリット
1 不動産を用いた相続税の節税対策
不動産を活用することで、相続税の納付額を軽減できる可能性があります。
これには、相続税申告特有の相続税額計算方法が関係しています。
相続税は相続財産に対して課せられる税ですが、より正確には相続財産の評価額に対して課せられる税です。
一般的には、相続財産の評価額が大きいほど、相続税も高額になります。
もっとも、相続税計算時に用いられる相続財産の評価方法においては、不動産の評価額は低くなる傾向にあります。
これにより、相続税額を低くできることがあります。
以下、具体的に説明します。
2 不動産の評価
相続税の計算において相続財産を評価する際には、原則として、建物は固定資産評価額、土地は路線価方式または倍率方式によって評価します。
そして、建物については、固定資産評価額は建築価格の約7割、土地については、路線価方式または倍率方式による評価額は市場価格の約7~8割といわれています。
単純化しますと、建築価格2000万円の建物は約1400万円、市場価格3000万円の土地は約2100~2400万円という評価額になります。
また、不動産を貸し付けている場合には、借家権割合、借地権割合を控除できるため、さらに評価額が下がります。
同額の預貯金を持っている場合に比べ、相続財産の評価額を数百万円低減できるため、結果として相続税の節税につながります。
3 特例の適用
さらに、一定の要件を満たす土地については、大幅に評価額を下げられることがあります。
代表的なものとして、小規模宅地等の特例の適用が挙げられます。
被相続人の居住用に使用されていた土地を一定の要件を満たす方が取得した場合や、被相続人の事業用として利用されている土地を一定の要件を満たす方が取得した場合、および被相続人の不動産貸付業等として使われている土地を一定の要件を満たす方が取得した場合に、この特例を適用することができます。
被相続人の居住用に使用されていた土地の場合、評価額が80%減額されます。
被相続人の居住用の土地の市場価格が1億円であった場合、路線価方式での評価額は約8000万円となり、さらに80%減額されることで、最終的な評価額は1600万円となります。
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