相続税申告
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相続税の計算の仕方
1 相続税の計算の流れについて
相続税は、亡くなられた方の相続財産(みなし相続財産含む)に対して課せられる税です。
また、相続人や受遺者の数によっても税額が変わります。
これらを踏まえると、相続税の計算は、次の流れで行われます。
①相続財産の調査、相続人・受遺者の調査
②相続財産の評価
③財産の内容や相続関係に応じた非課税枠、基礎控除額等の控除
④相続税の総額の算定
⑤相続税の総額を各相続人等の取得割合に基づいて振り分ける
⑥各相続人固有の事情に基づく税額控除
以下、それぞれについて詳しく説明します。
2 相続財産の調査、相続人・受遺者の調査
相続税の計算をするためには、まず相続財産の調査が必要となります。
被相続人の預貯金や不動産、有価証券、死亡保険金(みなし相続財産)などのほか、借入金や未払金などの相続債務や葬儀費を裏付ける資料を集めます。
併せて、戸籍謄本類を収集して相続人を調査・確定させるとともに、遺言がある場合には相続人以外の受遺者の有無を確認します。
3 相続財産の評価
相続税は、正確には相続財産の評価額に対して課せられる税ですので、相続税計算特有のルールに従った相続財産評価を行う必要があります。
預貯金は、相続開始時点の残高がそのまま評価額になります(定期預金利息については、既経過利息計算書が必要となります)。
株式、投資信託などの有価証券については、それぞれ特有の評価方法による評価が必要です。
土地については、国税庁が公開している路線価または倍率表を用いて、基礎となる評価額を求め、土地の形状や接道条件、貸付の有無などの要素を考慮した補正を行って評価をします。
建物については、原則として固定資産評価額を元に評価をし、貸付の有無などの要素を考慮した補正を行って評価します。
4 財産の内容や相続関係に応じた非課税枠、基礎控除額等の控除
相続財産の中に、死亡保険金など非課税枠が設けられているものがあれば、評価額から非課税枠を控除します。
また、法定相続人の数に応じた基礎控除額も、相続財産の評価額から控除します。
こうして求められた金額が、相続税計算の元となります。
5 相続税の総額の算定
4で算定した金額を、各相続人に法定相続割合で割振り、それぞれ相続税率を乗じて計算した金額を再度合計し、相続税の総額を算定します。
6 相続税の総額を各相続人等の取得割合に基づいて振り分ける
さらに、5で計算した相続税の総額を、各相続人等の実際の相続割合に基づいて振り分けます。
7 各相続人固有の事情に基づく税額控除
最後に、各相続人に振り分けられた相続税額を元に、配偶者控除や障害者控除、2割加算など、各相続人等固有の事情に基づく税額控除・加算を行い、具体的な納税額を算定します。
相続税を払い過ぎた場合
1 相続税を払い過ぎた場合には還付の請求ができます
相続税を払い過ぎた場合、更正の請求という手続きによって、払い過ぎていた相続税の還付を受けられることがあります。
更正の請求は、本来の税額よりも多い金額で税申告と納税をしてしまっていた場合に、納め過ぎていた分の税金を返還してもらう手続きのことをいいます。
本来的には、理論上の相続税の金額は決まっています。
しかし、実務上は、本来納付すべき金額よりも多い金額で相続税を計算し、申告、納付してしまうということもあります。
以下、相続税の払い過ぎが発生してしまうケースについて説明します。
2 相続税の払い過ぎが発生するケースについて
⑴ 相続財産の評価を誤っていた
相続税は、他の税にはない特有の財産評価方法が存在しています。
そして、相続税は、他の税金に比べると、重点的に扱っている税理士が相対的に少ないと考えられることから、相続税特有の財産評価に精通した税理士も多くはありません。
特に、相続財産に含まれる土地については、評価に関する知識やノウハウの差によって、評価額が大きく変わってしまうということもあります。
その結果、相続税の払い過ぎが生じる可能性があります。
⑵ 未分割申告をした
遺産分割を巡って、相続人が揉めてしまうということも少なくありません。
そして、遺産分割がまとまらず、相続税の申告期限までに遺産分割協議を終えることができないということもあります。
このような場合、遺産が未分割であっても、一旦法定相続割合で遺産分割をしたと仮定して相続税の申告(未分割申告)と納付を行うことになります。
相続税の申告、納付の期限は、相続の開始を知った日(一般的には被相続人の死亡日)の翌日から10か月ですので、遺産分割がまとまらない場合には未申告となることを避けるため、未分割申告をせざるを得ません。
遺産分割完了後、改めて相続税額を算定し、申告を行うということになりますが、ケースによっては未分割申告時に比べ、税額が減ることがあります。
相続税には、遺産分割が完了していることが要件となっている、税額を大幅に減らすことができる制度がいくつか設けられています。
代表的なものとして、配偶者控除や小規模宅地等の特例が挙げられます。
配偶者控除により、被相続人の配偶者の税額は大幅に減ることがあります。
また、小規模宅地等の特例の適用により、相続財産全体の評価額が減るため、結果として相続税額も減ります。
遺産分割成立後、更正の請求を行うことで、相続税額が減少した分の還付を受けることができます。