手続の流れ
相続手続きの流れとかかる時間の目安
1 相続手続きの流れとかかる時間の概要
相続手続きは、まず相続人調査と遺産分割協議(遺産分割協議書の作成)を行います。
その後の相続手続きには様々なものが考えられますが、代表的なものとしては、預貯金や有価証券の名義変更、不動産の相続登記、相続税の申告・納付が挙げられます。
以下、これらについてかかる時間を説明していきます。
2 相続人調査と遺産分割協議(遺産分割協議書の作成)
相続人調査と遺産分割協議書の作成は、その後の相続手続きの前提となる重要な作業です。
遺産分割協議は相続人全員で行わなければ法的な効力が生じませんので、相続人調査は必須となります。
相続人調査をするためには、基本的には被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と、すべての相続人の現在の戸籍謄本を取得します。
戸籍謄本類の収集は、概ね1~2か月程度で可能です。
代襲相続などが発生しており、相続関係が複雑である場合には、必要な時間も長くなります。
事実上相続人がわかっている場合には、相続人調査と並行して遺産分割協議を進めることはできます。
遺産分割協議をするためには、相続財産の調査をしたうえで、どの相続人がどの相続財産を取得するかを決める必要があります。
なお、相続人が1人しかいない場合、相続財産の調査のみ必要となります。
被相続人の預貯金の残高確認や、不動産の名寄帳の取得など、相続財産の調査には一般的には1~2か月程度要します。
遺産分割協議は、相続人間で争いがない場合には1か月程度でできます。
仮に遺産分割がまとまらず、紛争に発展した場合には、解決まで数年かかる可能性もあります。
3 預貯金や有価証券の名義変更
遺産分割協議書が作成できたら、金融機関の窓口等で相続手続きを行います。
預貯金については、一旦解約して、預貯金を取得した相続人に送金する形となります。
株式や投資信託などの有価証券については、有価証券を取得した相続人に名義変更をします。
これらの手続きには、通常1~2か月程度を要します。
4 不動産の相続登記
遺産分割協議によって不動産を取得した相続人は、法務局で相続登記をする必要があります。
相続登記の申請書を法務局に提出してから、相続登記が完了するまでには1か月程度かかります。
5 相続税の申告・納付
相続財産(死亡保険金などのみなし相続財産含む)の評価額が一定金額を超える場合には、相続の開始を知った日(一般的には被相続人の死亡日)の翌日から10か月以内に相続税の申告と納付が必要となります。
相続税申告書を作成するためには、相続財産を裏付ける資料の収集と相続財産の評価、相続税申告書の作成が必要であり、一般的には1~3か月程度を要します。